ホーム > 不登校の支援 > 不登校の解決とは何でしょうか?
文部科学省が2018年2月に発表した「児童生徒の問題行動・不登校等調査」によると、2016年4月から2017年3月の1年間に30日以上欠席した不登校の子どもは、全国の国公私立の小中学生合わせて13万3683人だということです。人数は、6.1%増えていて、4年連続の増加ということです。
そのうち小学生は3万448人(10.4%増)、中学生は10万3235人(4.9%増)で、小学生では全児童の1%、中学生では全生徒の4.1%が不登校となっているということです。
こんな数字を見ても、不登校というのは、特別なことではないのですが、「不登校の解決」とはどういうことか、少し考えてみたいと思います。
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多くの人は、「学校へ行くようになれば不登校が解決した」と考えているかもしれませんが、少し深く考えてみます。
そもそも、学校へ行くのは何のためでしょうか? 例えば、小学校へ行くのは中学校へ行くためでしょうか? 中学校へ行くのは高校へ行くためでしょうか? 高校へ行くのは大学に行くためでしょうか? そう考えている方も多いかもしれません。
また、そもそも小学校や中学校は、何のために行くのかという問題ではなく、「義務教育だから行かなくてはならない」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
色々な考え方があるのですが、ここでは根本的なところから考えてみます。
教育基本法には、「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期する」と書かれています。
単に、勉強ができるとか、資格を得るとか、そういうために教育があるのではないと言えます。 子どもを持つ一人の親として考えると、「学校は子どもの幸せのために行くところ」だと思います。
子どもの成長の基本は、家庭にあります。基本は家庭で、安心してリラックスして過ごすことです。安心の環境で活動することが最も脳の発達にプラスになると言われていることも、その一つの理由です。
それを基本として、役割を果たしたり、人とのコミュニケーションを楽しんだり、することで、社会で生きていくための基本的な力が育ってきます。
そして、もちろん学校に通うことで、たくさんのことを学んだり身につけたりすることができます。
こんなことが、子どもの幸せにつながっていくと、信じて私たちは子育てをしています。
こんな図にまとめてみました。
大切なことは、「子どもの幸せ」であって、どこを通って「幸せ」に近づいていくのかは、重要ではないのです。
子どもが「幸せ」に近づいていくには、きっといろいろな道があると思います。そして、その道は、一直線ではなくて、曲がりくねっているのです。
色んなルートで、子どもは一人一人が自分の「幸せ」に近づいていくのです。
つまり「不登校の解決」は、登校することでも学校へ行くことでもありません。子ども一人一人が自分の「幸せ」に近づいていくことです。
学校へ行っていなくても、人とのコミュニケーションを楽しんだり、家庭での役割を果したりなど、色々な体験を通して子供は成長していきます。
不登校の子供たちの成長を考えるときには、「解決志向アプローチ」が役に立ちます。解決志向アプローチで、最も大切なことは、「解決像」と「ゴール」です。
解決像は、北極星のようなものだと言われています。目指す方向性や行先です。すぐにはたどり着けなくても、それを目指して進んでいく方向や行先なのです。
だから、不登校の子ども達の場合も、学校へ行くか行かないかではなく、もっとその先の自分が何をしたいのか、どうなりたいのかを見つけてそれを目指していくことが大切です。
解決志向アプローチでは、「ゴール」というのは長距離を走るときの電信柱のようなものだと言われています。長距離を走っているときには、最終的なゴールを目指すのではなく、途中途中で、次の電柱まで頑張ろうと考えながら走ることがあると思います。その途中途中の電柱のような目標が、解決志向アプローチの「ゴール」なのです。
不登校に関係づけて考えると、「学校へ行く」ことは、「ゴール」としては、大きすぎます。もっと小さくて、もっと目の前にあって、その場所までの道筋がはっきり見えているものが良いのです。朝起きるとか、コンビニまで買い物に行くとか、本当に小さなものが良いでしょう。
こんなふうに、手に届きそうもない「解決像」を目指して、目の前の小さな「ゴール」を一つ一つクリアしていくことが大切なのです。「学校へ行くかどうか」は、「解決像」と「ゴール」の間にあります。そこは、あまり考えなくてかまわないのです。
不登校の解決とは、学校へ行くか行かないかではなく、もっともっと先にある、「子どもの幸せ」や「解決像(北極星)」なのです。
そして、それを目指して、目の前に見えている小さな小さなゴールを積み重ねていくことが大切なのです。
>>>詳しくは「中学生の不登校では、カウンセリングは本人?保護者?」へ
解決志向アプローチは、問題やできないことに焦点を当てるのではなくて、子どもの中に眠っているゴールに焦点を当てることに特徴があります。その考え方は、ご家庭での会話や保護者様の声かけに活かすことができます。何が問題か?、どうするべきか?、よりも、どうなりたいか?、どうしたいか?を大切にします。
>>>詳しくは「不登校の子どもと解決志向アプローチで会話!」へ
「学校へ行きたくない」と、はっきり言われてしまうと、保護者様としては大変驚いたり戸惑ったりしてしまうと思います。しかし、「学校へ行きたくない」と言えることは良い面がたくさんあります。考え方と対応方法を解説しました。