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子どもと昔の話をしよう

 

 お子様が思春期を迎えると、イライラしてばかりいて、ちょっとしたことで反発してきたりするのではないかと思います。

 

 お子様が自分の部屋にこもる時間が長くて、親子で顔を合わせるのは食事の時間だけなどということもあります。食事の時間が良いチャンスと思って、お子様に話しかけても、まったく無反応だったりすることもあるかと思います。

 

 学校のことを聴いても、「別に~」とか「うん、まあ」などと、ほとんど中身のない返事が返ってくることも多いと思います。

 

思春期の子どもは自分の事は話したがらない

  思春期という年代は、親から距離を持つようになり、自分の世界を作ろうとしていく年代です。親から自分のことに何か言われたりすることに拒否反応が生じがちなのです。

 

 こういったことは、思春期にはよくあることで、このことだけで心配する必要はないのですが、保護者様としては、お子様にどんな風に関わってよいか迷う状況だと思います。

 

 

 

親が中学生の頃の話をする

 そういったときの一つの方法としては、保護者様ご自身が子どもの頃の話をすることをお勧めします。今のお子様とちょうど同じ年代の頃の話が一番良いとおもいます。

 例えば、夕食のメニューがカレーライスだったとします。家族でカレーを食べながら、保護者様自身のカレーについての中学生の頃の思い出話をするのです。

 

 親の子ども時代のことは、お子様はあまり知らないことが多いようです。お子様はみんな興味を持ちます。しかも、お子様自身のことではありませんから、親から自分が何か言われるという拒否感も生じにく話題です。保護者様の中学生の頃の思い出話は、話題としては、非常に優れているのです。

 

 保護者様が自分の中学生の頃のエピソードを話している間、おそらくお子様は、それに気持ちを向けて聞いていることと思います。親から何か話を振った時には、なかなか、そうはならないものです。もしかすると、保護者様のエピソードに触発されて、お子様自身の体験を話し始めるかもしれません。それは、非常に素晴らしい展開です。それに保護者様も乗っかるようにすれば、しばらくは、やり取りが続くことになると思います。

 

 親主導で子どもと話をすることは、思春期の年代では難しいものです。子ども主導で話が進み、親がそれに乗っかっていくことが良い展開です。保護者様がご自分の中学生の頃の話をすることは、お子様が自分のことを思い出し、自分から話したくなる良いきっかけとなるのです。

 

 また、もしお子様が話に乗ってこなかったとしても、保護者様がご自分の中学生の頃の話をすることは、大変意味があります。子どもは意外と親のことを知りません。保護者様がいろいろとお子様のためを思って叱ったり、注意したり、声をかけたりしていることは、保護者様の歴史や体験に根差した、保護者様にとって根拠のあることだと思います。しかし、その根拠の部分(保護者様の歴史や体験)はほとんどお子様まで伝わっていません。保護者様の過去のちょっとしたエピソード、日常の様子を知ることが、保護者様の歴史や体験を知ることになります。保護者様をより深く詳しく知ることが、お子様にとって保護者様の説得力が増すのです。

 

子どもの小さかった頃の話をする

 昔の話をするという、もう一つの方法は、お子様が小さかった頃の話をするという方法です。例えば、食事の時に、「何故か、急に思い出したんだけど、〇〇ちゃんが小っちゃかった時に・・・ということがあって・・・」などと話すのです。

 

 こういった話は、ほとんどすべての子どもたちは大変興味を持っています。特に、思春期の子ども達は自分の世界を作ろうとしていますので、自分のことに大変興味があります。昔の自分のことにも興味があるのです。そのため、保護者様が話す内容に、大変興味をそそられることになると思います。「今は、〇〇だけど、昔は××だったんだねぇ」などと、自分から今の自分のこととつなげて話が出てくる可能性もあります。『親が中学生の頃の話をする』ことと同じで、自分から話したいという気持ちがわいてくる可能性があるのです。

 

お説教はしない

 一番よくないのは、最後にお説教になってしまうことです。「お父さんは昔は、すごく頑張っていたから、お前ももっと頑張りなさい」といったような話をしてしまうと台無しです。お子様が自分から自分の話をすることをよく聞いてあげるのが基本です。