小中学校では、子ども同士のSNSでのトラブルは、前から言われているのですが、今も特に減ってきている様子はありません。
学校からは、「人の嫌がる書き込みをしない」とか「相手の気持ちを考えてから書き込みをしよう」などと呼びかけています。でも、その呼びかけは、子どもたちの直面する問題には届いていないようです。
現場で触れた実例からわかりやすい、トラブル事例を作ってみました。
SNSで友達からイヤなことを言われた?
お姉ちゃんからもらったプレゼントのぬいぐるみを写真で撮って、友達に見せたところ、友達からは嫌味を言われたというケースのように見えます。相手の子は、プレゼントを羨ましく思って嫌味を言ったのかもしれません。単純に、ぬいぐるみをかわいくないと思ったことをそのまま書いただけということかもしれません。
実は、相手の子は「そのぬいぐるみ可愛いね」という気持ちで、「なんか、かわいくない」と書き込んだのです。子ども同士の日常会話では、肯定的な意味で半疑問文を使うことがあります。そういう日常会話と同じつもりで、相手の子どもは「なんか、かわいくない」と書き込んだのです。つまり、相手の子どもは嫌がらせをするつもりや悪口を言ったつもりは全くないのです。
しかし言われた子どもは「悪口を言われた」などと感じて傷ついているのです。
大人だと、「そんなことありえないでしょう」と思うかもしれませんが、小学生レベルでは、現実にこういったトラブルが生じています。言われた子は、だれにも相談しないことがほとんどです。相手の子に対する否定的な気持ちを抱えたまま、表面的には、今まで通りに友達付き合いを続けることが多いようです。そして、中学生になってから、「あの子に小学生の時にいじめられた」などと、別の友達に言ったりすることもあります。単純なすれ違いが、大きなトラブルへと発展してしまいます。
SNSでの仲間外し?
このケースはどうでしょうか? DさんがCさんのことを、来ないように言って仲間外しをしているように見えます。言われたCさんは、ショックを受けて傷ついてしまいました。もし、AさんかBさんが、「そうだね~、なんで?」などと同調してしまうと、さらに深く傷ついてしまう可能性があります。典型的ないじめの場面のように見えます。
しかし、こういったやり取りが、実際はいじめでも仲間外しでもなく、単なる誤解によるすれ違いという場合があります。Dさんが「なんで、C来るの?」と聞いていますが、集まる交通手段を聞いているのです。つまり「自転車で来るの? 誰かに車で送ってもらうの?」ということを質問しているのです。スマホのやりとりでは、長い文章を入力するのが面倒なため、短い文を入力しがちです。そのため、こういったすれ違いや誤解が生じやすいようです。
すれ違いだとしても、一人でそういうことに気づくのは難しいので、言われたCさんは、かなりショックです。誰にも言えず一人で悩んでしまう可能性は高いです。学校での現実の友人関係もぎくしゃくしてしまったり、言ってきたDさんだけではなくて、やり取りを見ていたAさんやBさんのことも、避けるようになってしまうかもしれません。いじめとして問題は大きくなってしまいます。いじめとして問題化して、Dさんを指導したとしても、Dさんからすると、Cさんは「考えすぎ」とか「被害妄想」という感じになってしまいがちです。
こうなってしまうと友達関係が決定的に壊れてしまいます。
トラブルに発展するのを防ぐ
こういった些細なすれ違いがトラブルに発展するのを防ぐにはどうすればよいでしょうか? 上で見たように、大人が後からいろいろと関わっても、いったん生じてしまったすれ違いからの傷つきやトラブルをすっかり解消するのは難しいものです。予防が大切なのです。
子どもにすれ違いについて教える
子どもがスマホを使うようになった時に、SNSの使い方を細かく教えてあげることが大切です。「人が傷つくようなことを書かない」とか「自分が言われて嫌なことは書かない」などと教えるだけでは、不十分です。上の例では、相手を傷つけようとして書いたつもりではありませんし、自分が言われて嫌なことを書いたつもりもないと思います。
ぜひ、上のやり取りの例を見せて、どういうことが起きているのかを親子で話し合ってください。すれ違いが起きていることに気づけるように教えてあげてください。そして、ちょっとしたイヤなことがあった時には、大人に相談するように話してください。
すれ違いが起きた時に上手に返す
すれ違いが起きていることが理解できた時には、さらにどう返せばよいのかについて、話し合うことも大切です。
上の例について考えます。「なんか、かわいくない」と返されたときに、「どの辺が?」とか「どうして?」と返すことが一つの方法です。そうすると、相手から「〇〇のところがおしゃれだよね」などと返ってくる可能性があります。「?」だけでも良いかもしれませんし、スタンプを返しても良いかもしれません。落ち込んだ様子やショックを受けている様子のスタンプを返しても良いと思います。
下の例について考えます。もし、見ているAさんが「私は、自転車で行くよ」と返したらどうでしょうか? Dさんが「なんで来るの?」と質問した意味が交通手段を質問しているのだとはっきりします。
そういったことを子ども話し合って考えさせることが大切です。自分が言われた時のトラブルを予防することにもつながりますし、自分が知らず知らずに相手を傷つけることを防ぐことにもなります。
興味を持たれた方はこちらの記事もお読みください
スマホのルール作りやルールが守れなかった時の対応について解説しました。
スマホを買う前に、お子様の行動や生活習慣をチェックして、話し合うことをお勧めしています。