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どうなる臨床心理士と公認心理師の関係

 

臨床心理士という資格と公認心理師という資格の関係がどうなっているのか、どうなっていくのかについて、解説しています。

 

臨床心理士からは公認心理師なれません

臨床心理士からは公認心理師になることができない

臨床心理士の資格は、公認心理師という国資格とは、直接的には全く関係がありません。臨床心理士であっても、それを理由に公認心理師になれるとか、公認心理師の試験を受験できるとか、そういったことは全くありません。

 

臨床心理士が、現任者として心理的な支援に携わってきた場合、現任者講習会を受講した後公認心理師の試験を受験できるのです。実は、臨床心理士であってもなくても、現任者として心理的な支援に携わってきた場合、現任者講習会を受講した後、公認心理師の試験を受験できます。

臨床心理士であるかないかは関係なく、現任者であるかどうかが重要なのです。

 

公認心理師は、法律に基づく国資格ですから、特定の民間資格を優遇することはできないのは当然です。

 

なお、その他の資格【学校心理士】【臨床発達心理】でも事情は同じで、「学校心理士だから公認心理師なれる」、とか「臨床発達心理士だから公認心理師になれる」ということもありません。

 

公認心理師は臨床心理士になれる?

公認心理師から臨床心理士になれるかどうか決まっていない

 

では、臨床心理士ではない現任者が、公認心理師を取った場合、公認心理師から臨床心理士になれるのでしょうか?

現在のところ、このルートは開かれておりません。

 

つまり、「臨床心理士から公認心理師」および「公認心理師から臨床心理士」というどちらのルートもありません。

 

公認心理師から学校心理士・臨床発達心理士

公認心理士から学校心理士や臨床発達心理士になれる

資格を持たない心理職の現任者が公認心理師となった後に、学校心理士や臨床発達心理士の資格を取得する道は開かれています。

 

公認心理師から学校心理士

 

学校心理士の場合は、「累計6:公認心理師資格を有するもの」という受験資格が設けられていて、公認心理師が学校心理士を取得するルートが設けられています。学校心理士認定運営機構によれば、「学校心理士認定運営機構が開催する講習会に参加することが必要です。」とのことです。講習会(1日)を受講したあと試験を受けることができるようです。

詳しくは一般社団法人学校心理士認定運営機構のホームページをご参照ください。

 

 

公認心理師から臨床発達心理士

 

臨床発達心理士の場合は、「タイプⅣ(公認心理師タイプ)」という受験資格が設けられていて、公認心理師が臨床発達心理士を取得するルートが設けられています。臨床発達心理士認定運営機構によれば、「臨床発達専門講習会」(1日)を受講して報告書を提出し、口述審査(約20分)を受験して審査されるということです。

詳しくは、一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構のホームページをご参照ください。

 

公認心理師から臨床心理士ルートについて考えてみる

  1. ルートは設けられない
  2. 公認心理師取得後数年の臨床経験で、現行の指定大学院卒と同じ試験を受験
  3. 公認心理師取得後数年の臨床経験で、臨床心理士からスーパービジョンを受けケースレポートを審査
  4. 公認心理師取得後、数日間の講習会を受講して、現行と同様の試験を受験

臨床心理士資格認定協会が考えて判断することですが、個人的に予想してみます。念のため断っておきますが、私は、臨床心理士資格認定協会や協会関係者とは全く関係がありませんので、この予想は完全に個人的なものです。

 

個人的な考えとして一番良いのではないかと思っているのは、「3.公認心理師取得後数年の臨床経験で、臨床心理士からスーパービジョンを受けケースレポートを審査」という方法です。臨床心理士の歴史や専門性をしっかりと公認心理師から臨床心理士を目指す人に伝えていくためには、このルートを設けることが一番良いのではないかと思います。

 

最後に

 

 公認心理師と臨床心理士は、性格の異なる資格だと思います。そのため(少なくとも公認心理師が誕生して5年間は)臨床心理士+公認心理師、学校心理士+公認心理、臨床発達心理士+公認心理師などのダブル資格の心理職がスタンダードとして認識されていくことを期待しています。

 

公認心理師と臨床心理士については以下の記事もご参照ください