茨城県つくば市では、2024年4月からつくば市内の小中学校や義務教育学校の全50校に「校内フリースクール」を開設しています
茨城新聞の記事で紹介されています。以下に引用します。
不登校の子どもを支援しようと、茨城県つくば市教育委員会は本年度、市立小中・義務教育学校全50校で、教室に通えない子どもの居場所となる「校内フリースクール」を開設した。自治体の公立校全てに設置するのは県内初。不登校の子どもが増加する中、多様な学びを確保する。
(中略)
市教委の校内フリースクールは、教員免許を持つ「支援員」と、相談や事務サポートを担う「補助員」の2人体制。平日は支援員が常駐し、子どもの学習を支援したり、相談を受けたりして、子どもの居場所づくりに取り組む。市教委学び推進課によると、全校に支援員を配置済み。
23年度には市内23校で先行して開設。同課によると延べ300人超が利用した。教室で過ごすのがつらかったり、学校に通えなかったりする児童生徒の利用があったことから、同課は「一定の効果があった」と判断。本年度から全校での設置に踏み切った。
県教委義務教育課によると、校内フリースクールは県内で拡大傾向。23年度は13市町38校にとどまっていたが、本年度は県の関連事業だけで34市町村77校に拡大。自治体独自の設置を含めると、少なくとも100校は超える見通しだ。
全50校にフリースクール 不登校支援、学び確保 茨城・つくば市(茨城新聞クロスアイ)
私は、校内フリースクールがきっかけとなって、学校が子ども一人一人の個別性にそって、その子に合った関わりを行うように少しずつ変わっていくのではないかと、期待しています(楽観的かもしれませんが)。そういう意味で、校内フリースクールに予算がつけられて導入されているのは、学校教育にとって大きな変化ではないかと思っています。
ところで、私は(期待を込めて)校内フリースクールという呼び方が良いのではないかと思っています。校内教育支援センターという呼び方には、適応指導教室から教育支援センター、それを校内に取り込んだという流れが現れているように思います。校内フリースクールという呼び方は、(民間の)フリースクールがあって、それと近い場や機能を学校(教育)内に取り込んだという側面が言葉に表われているように思います。民間のフリースクールと地続きであるということは大きな意味があると思います。
少し話は変わるようですが、私は、時々不登校についての市町村議会での質問や答弁を調べています。その中で、不登校のことが話題になると、適応指導教室(教育支援センター)が話題に出てきます。そして、利用者の人数が聞かれるのですが、そのうちの学校に復帰した子供の数が話題になります。もちろん学校に復帰すること(復帰したという言葉も気になります)が悪いわけではないのですが、文部科学省が「学校復帰を目標とするのではなく」と言っている時代に、その数が話題となることは良くないことだと思います。
ただ、適応指導教室(教育支援センター)を利用している子どもたちにとって、そこでの関わりが学びや成長につながっていることを、どのように表せば良いのかということがはっきりしません。(あるていど明確な)指標というものがないと、行政としてはそこに予算をかけていることが適切かどうかを判断することはできないので、学校に復帰した子どもの数が話題となることは仕方がない面もあると思います。
そこで思うのが、適応指導教室や校内フリースクールなどで子どもたちがどのように学びや成長につながる体験をしているのかということを計る尺度(アンケート)があれば良いのではないかということです。例えば、「この場で、楽しく学ぶことができた」「この場で、自分らしく過ごすことができた」「この場で、自分の成長につながる体験ができた」などの項目を通して、校内フリースクールや適応指導教室で子どもたちが学び成長していることがある程度明確になるのではないかと思います。それは、校内フリースクールや適応指導教室が適切に運営されているかどうかを判断する材料にもなるのではないかと思います。そして、そのアンケートは校内フリースクール、(民間の)フリースクール、教育支援センターなど、学校の教室など、多様な学びの場で学び成長している子どもたち全員に回答してもらうことができると思います。それぞれの場が子どもたちとって、学びと成長につながる場となっているかどうかを比較することもできるのではないかと思います。そうすると、もしかしたら(民間の)フリースクールは(他の場と比べて)子どもたちの学びと成長を力強くサポートしていることが分かるかもしれません。そして、適応指導教室や校内フリースクールの課題も見えてくるかもしれません。
校内フリースクールは、少なくとも数年後に本当に効果があるかどうかを議会で問われることは間違いないと思います。その時に、教室復帰や学校復帰という指標ではなく子どもたちが学びと成長につながる体験をしていることを示すことは、非常に重要なことではないかと思います。