不登校の子どもたちの数が増加していることから、スクールカウンセラーの拡充が求められています。実際の所、スクールカウンセラーは毎日相談室にいるわけではありません。しかも、都道府県によって配置状況が違っています。文部科学省の統計情報からをまとめてみました。
元のデータ:学校保健統計調査(文部科学省)
中学校でのスクールカウンセラー配置状況
スクールカウンセラーは、中学校を中心として配置されていますので、まず中学校でのスクールカウンセラー配置状況を見てみます。
全国と茨城県の配置状況を比べると以下の通りです。
全国的には、中学校の3校に2校でスクールカウンセラーは週に4時間以上の配置となっています。スクールカウンセラーのいない中学校も40校に1校ぐらいあります。
茨城県では、スクールカウンセラーのいない中学校はありませんが、全国平均と比べて各学校に配置されている時間数が少ないことが分かります。茨城県の中学校ではスクールカウンセラーは薄く広く配置されていると言えます。
小学校でのスクールカウンセラー配置状況
全国的には、小学校の約9割にスクールカウンセラーが配置されています。つまりスクールカウンセラーのいない小学校も10校に1校ぐらいあります。しかし、週に4時間よりも少ない配置が大半です。スクールカウンセラーが小学校にいるのは月に1回程度ということが一般的ではないかと思われます。
茨城県では、スクールカウンセラーのいない小学校はありませんが、全国平均と比べて各学校に配置されている時間数が少ないことが分かります。茨城県の小学校ではスクールカウンセラーは薄く広く配置されていると言えます。
高校でのスクールカウンセラー配置状況
全国的には、高等学校の約9割以上にスクールカウンセラーが配置されています。週4時間以上の配置の高校が40%を越えています。4時間未満も30%程度、不定期配置も20%程度ありますので、高校では学校によってスクールカウンセラーの配置時間がまちまちだと言えます。
茨城県では、ほとんど全ての高校にスクールカウンセラーが配置されています。ただ、全国平均と比べると配置時間が週4時間未満の学校が多くなっています。
スクールカウンセラーの配置の都道府県ランキング
スクールカウンセラーの配置は、小学校、中学校、高校で状況が違います。学校での配置時間も様々で、週4時間以上の配置、週4時間未満、不定期と分けられて割合が出ています。そのため、都道府県の配置状況の違いを比べることが難しいと思います。
そこで、点数化してみることにしました。
4時間以上の配置を5点
4時間未満の配置を3点
不定期配置を1点
としました。
全ての学校で週に4時間以上の配置の場合が満点で、5点となります。通知表の5段階評価をイメージしていただけるとわかりやすいと思います。
また、この得点からスクールカウンセラーが毎週何時間学校で勤務しているかを大まかに捉えることができます。
例えば、4点の場合は、その県のスクールカウンセラーを小中高をおしなべて捉えると週に4時間学校で活動してると捉えられます。
なお、週に8時間の勤務も週に26時間の勤務も同じ5点として計算されます。そのため、5点に近い得点の場合は、週の勤務時間はもっと多い学校もあると考えられます。
ちなみに、茨城県は【2.95点】で、5段階の3に満たない得点で、全国で第34位のスクールカウンセラー配置状況でした。
スクールカウンセラー配置状況の変化
令和元年から、令和3年までのスクールカウンセラー配置得点を調べてみると、全国でも茨城県でもほとんど増えていないことが分かります。
スクールカウンセラーが学校に配置されている時間をもっと増やすべきではないかと思います。
また、学校保健統計調査では、週に4時間以上というくくりで調査されています。もっと配置時間の多い学校もあるわけですから、【週に4時間以上8時間未満】、【週に8時間以上】というように細分化して調査してほしいと思います。
この記事の執筆
半田一郎(公認心理師・臨床心理士・学校心理士スーパーバイザー)
更新日: