金子書房から、『子どものSOSの聴き方・受け止め方』という本を出版させていただくことになりました。
この本は、2021年4月から2022年3月までの1年間、金子書房のnoteに連載させいただいたものをもとにして、加筆修正したものです。分量的には約1.5倍になっていて、noteの記事では触れていなかった内容も書くことができました。
子どもの危機はいつどこで生じてもおかしくないと思います。子どもに関わっている全ての大人の皆さんにお勧めしたいと思っています。
なお、本が出版された後も元になったnoteの連載はそのままインターネットで読めるようです。その記事は以下のリンクからご参照ください。
目次
はじめに
子どもの自殺数が増加/夏休み明けの子どもの自殺/SOSの出し方教育/
九人殺害事件/この本では
第一章 深刻なSOSの受け止め方
TALKの原則/「死にたい」「消えたい」「自傷した」という訴えがある場合/
話してくれたことに感謝を伝える/辛さや苦しさに共感する/
子どもを大切に思っている気持ちを率直に伝える/
こちらにできることがあるかどうかを聞く/また話をすることを約束する/
他の人にも助けを求めることを促す/思いついたこと付け足したいことを聞く/
してはいけない対応/この章のまとめ
第二章 自傷行為を知ったときの聴き方・受け止め方
やめさせようとすること/自傷行為を知ったときの関わり方/
事実を伝えることからスタート/手当をしたかどうかを聞く/
最初の関わりで目指すこと手当てをするように約束する/
子どもと同意や共通理解が得られること/この章のまとめ
第三章 自傷行為への関わり方
安心して話し合える関係を保つ/自傷行為の道具を預かること/
自傷行為について傾聴すること/行動記録表によるモニタリングについて/
置換スキルを提案すること/心理的に子どもの傍にいようとすること/
日常生活の中での関わり/それでもなお自傷行為をやめさせたい場合/この章のまとめ
第四章 子どもの話を傾聴すること
傾聴への負担感/傾聴とは/傾聴の三つの姿勢/
傾聴は、人と一緒に映画を見ることと同じ/映画を一緒に見ることと傾聴の共通点/
映画を見ることと傾聴の三つの姿勢/傾聴は聞く側にも肯定的な体験となる/
この章のまとめ
第五章 ともに眺める関係
主人公が登場しないストーリー/ともに眺める関係/
感情をぶつける―ぶつけられる関係自分自身について語ることができる場合/
感情をぶつけてくる場合の関わり方/この章のまとめ
第六章 認知行動療法の枠組みを活用して子どもの話を傾聴することを考える
クラスで無視されていると訴える中一女子の話から/
認知行動療法の枠組みから考える/Dについて知りたいこと/
子どもの感情に注目することが大切/この章のまとめ
第七章 子どもたちのSOSを受け止め、サポートする関わり方
温かく穏やかに関わる/今生じていることについて肯定的にフィードバックする/
だれでも必要とすることからサポートする/子どもが今直面している困難を理解する/
感情の言語化を促す/良い噂のネットワークを作る/子どもが話さない場合/
他からのサポートを得るように促す/この章のまとめ
第八章 アドバイスを巡って
質問そのものをいったん受け止める/子どもが受けたアドバイスを確認する/
子ども自身の目指す目的地を共有する/点数化してもらう/
対処行動を見つけ、身につける/この章のまとめ
第九章 トラウマ記憶の影響を考えに入れる
過去形にならない話/訴えの根拠を聞いてみる/
トラウマの記憶に触れることは慎重に/「どんなところから分かる?」と聞く/
トラウマとは/トラウマインフォームドケア/
この章のまとめ
第一〇章 心のサポートと心の成長
現実と気持ちを分けて捉える/安心・安全の基地としての大人/
成長のために大切なこと/子どものSOSについて考える/この章のまとめ
第一一章 子どもへの関わり方を磨く
感情を五感で感じ取る/交互色彩分割法を使ってプレバーバルな関わりを体験する/
この章のまとめ
第一二章 まとめに代えて―「となりのトトロ」の物語から考える子どものサポート
映画「となりのトトロ」について/主人公サツキと家族について/カンタについて/
カンタの傘/カンタとサツキは対照的/サポートの本質/頑張り屋のサツキ/
ヤングケアラーとしてのサツキ/サツキにかかっている心理的な負担/
サツキは大きな不安を抱えています/トトロがしてくれたこと/
そばにいてくれるトトロ/三重のサポート/
現代の子どもたちに三重のサポートはあるでしょうか?/
まずは大人がSOSに気づき受け止めること/この章のまとめ
おわりに