私は、リソースポートのカウンセリング以外にも週に2日スクールカウンセラーとして仕事をしています。スクールカウンセラーの仕事の一部として、よく教室に子どもたちの様子を見に行きます。
授業中の子どもたちの学習の様子を見ていると、非常に気になることがあります。それは、鉛筆の持ち方です。
子どもたちは、本当にいろいろな持ち方で鉛筆を持って、ノートに書いています。その持ち方だと疲れるんじゃないか?とか、上手に書けないんじゃないか?とか、いろいろと気になります。
そこで、鉛筆の持ち方について調べてみました。
鉛筆の正しい持ち方
人差し指と中指と親指の3つの指で軽く持つような持ち方が正しい持ち方だとされています。この持ち方で持つと、手や腕に余分な力が働くことがないですし、手首の関節を自由に動かすことができて、鉛筆を動かしやすいのです。
よく見かける子どもたちの鉛筆の持ち方
写真は全てPhotoACの無料素材より
こういった持ち方の場合、書いている字が見にくかったり、余計な力が入ってしまって、疲れやすかったりします。
正しい持ち方の方が、疲れにくい、丁寧に書けるなど、良いことが沢山あります。字を書くことに疲れやすい場合は、勉強への負担感につながります。丁寧に書けず雑になってしまう場合は、漢字の間違いにもつながりがちです。
こういったことがあるため、鉛筆を正しく持つことは本当に大切だと思います。
姿勢が悪いことも気になります
上の写真では分かりませんが、鉛筆の持ち方が良くない場合、姿勢も良くないことが多いように思います。
特に手首を内側に曲げて字を書いている子どもたちも多く、その場合、上や斜め左からのぞき込むように、ノートを見ている子どもたちが多いと感じます。
姿勢が悪いのは良くないという表面的なことではありません。黒板をノートに写すことが大変になるからです。上に書いたような姿勢でノートを取っていると、黒板を見る時には頭が大きく動いてしまいます。
頭が大きく動くということは、どこを見ていたかが分からなくなりやすいということです。見ていた場所を探すのに手間取って、ノートを取るのに余計に時間がかかってしまいます。その間にも授業は進んでいくので、だんだんと、授業も分からなくなってしまうリスクがあります。
正しく鉛筆が持てるように
では、子どもたちが鉛筆を正しく持てるようになるためには、どんなことが大切でしょうか?
体幹を育てる
幼児期には太めの筆記用具を使う
小学校低学年では持ちやすい鉛筆を使う
鉛筆の補助グリップを使う
ということが大切だと思います。少しずつ解説します。
体幹を育てる
実は鉛筆が正しく持てるためには、体全体がある程度育ってきていることが大切になります。体幹がしっかりできているからこそ、末端の指先がきちんと働くのです。そのため、鉛筆の持ち方だけを注意するのではなく、体幹が育つような工夫も大切になります。
例えば、ゲームをするときに寝っ転がってゲームをしている子どもたちが多いかもしれません。座ってゲームをすることが大切ですし、バランスボールに座ってゲームをすれば、自然と体幹が育ってきます。
生活の中で、体幹を鍛えるような習慣を持つことはとても大切だと思います。
幼児期には太めの筆記用具を使う
正しく鉛筆を持つことができる大人でも、細いペンを使って字を書くことは非常に疲れます。それだけではなく、きれいな字を書くことも難しいと思います。
大人は指先の力がある程度強くなっていますが、それでも細い筆記用具を使うことは無理があります。
子どもたち、特に幼児は指先の力がまだ弱いですから、細い鉛筆を上手に使うことは難しいのです。小さいうちに、文字を練習させたりすることがありますが、指先の力が弱いために、握るように鉛筆を持ちがちです。それが、クセになって正しい持ち方が身につかないことがあります。
幼児期には、字を書くよりもお絵かきが多いと思いますが、ふと目で三角のクレヨンがお勧めです。例えば以下のようなものがあります。
もし、字を練習するのであれば、書きやすい鉛筆を用意してあげることも大切だと思います。せっかく文字を練習するのに、良くない持ち方を身につけてしまったら、先々で苦労するかもしれません。
そのため、持ちやすい鉛筆を準備してあげることは大切です。鉛筆の濃さも、4Bや6Bという濃いものが良いでしょう。2BやBでは、まだまだ書くのに力が必要ですので、かえって良くない持ち方が身についてしまうかもしれません。
例えば以下のようなものがあります。
小学校低学年では持ちやすい鉛筆を使う
小学生になったら、学校へ持って行く鉛筆は持ちやすい鉛筆を準備してあげることが良いと思います。いろいろな商品が発売されています。例えば、次のようなものがあります。
鉛筆の補助グリップを使う
鉛筆の補助グリップを使っている子どももよく見かけます。いろいろな物があるため、実際に使ってみて合うかどうか確かめてみることも大切だと思います。例えば、次のような物があります。
小学校高学年で持ち方の練習をする場合
ただ単に、持ち方を気を付けるように言うだけでは、鉛筆の持ち方を直すことは難しいと思います。正しい持ち方の方が、その子にとっては、書きにくい持ち方で、疲れる持ち方になっていると思います。
そこで、まずは正しい持ち方が必要な理由をきちんと説明して、正しい持ち方が良い理由について理解を促すことが大切です。
そして、一度に、たくさん練習するのではなく、少しずつ練習していけばよいと思います。
指の筋力も全体的な手先の器用さも、幼児の頃よりはずっと発達しているので、少しずつ練習していけば、今までの持ち方でも書けるし、正しい持ち方でも書けるようになると思います。
今までの持ち方でも、正しい持ち方でも書けるようになれば、少しずつ本人が気を付けて書くようにすれば、次第に、正しい持ち方が定着すると思います。
無理に正しく持たせようとすると、反発心が強くなるので、正しく持てるようになっても、反発して持ちたくないということも生じがちです。だからこそ、あまり無理強いせず、少しずつ練習することが良いと思います。