小学生の男の子は、家族の迷惑を考えたりせず、自分勝手に行動して、お母さんたちは毎日毎日、振り回されて大きなストレスを感じがちかもしれません。
小学生男子の「あるある」として、【とにかく何でも忘れてしまう】【やるべき事が後回しになってしまう】【友達とのトラブルが多い】ということについて、カウンセラーの立場から、対策を考えてみます。
お母さん達にとっては、なかなか理解できない小学生の男の子の生態かもしれませんが、この記事が少しでも役に立って、子育てがほんの少しでも楽になれば幸いです。
【あるある1】とにかく何でも忘れてしまう
小学生の男の子は、とにかく何でも忘れてしまいます。例えば、帰ったら連絡帳を見せることになっているのに、いつも忘れてしまっていて、言われないと見せなかったりします。「連絡帳は?」と聞いたら、やっと「あっ!忘れてた!」と言って、ランドセルから出してくることがほとんどではないかと思います。
また、学校に提出しなければならない書類も、朝になって突然、「あ、忘れてた!!」と出してくることも、非常に多いのではないかと思います。
何度も、忘れないように、きちんとチェックするように言って聞かせても、とにかく何でも忘れてしまうという傾向はなかなか変わらないと思います。
【対応のコツ】思い出したらほめる
「あ!忘れてた!」と言って直前になって書類を出してきたときには、ほとんどの方は「早く出しなさい」とか「直前になって出されても困るんだよね」などと、注意することが多いと思います。カウンセラーとしてお勧めは、注意したり叱ったりするのではなく、思い出したことをほめてあげるという方法です。
「あ!忘れてた!」と言って、直前になって何かを出してきたときには、腹が立つ気持ちやうんざりする気持ちをグッと抑えて、「思い出してえらかったね」「おお、直前で思い出してギリギリセーフだね」などとほめてあげることをお勧めします。
自分で思い出すということができるようになれば、生活上の困りごとは大幅に少なくなります。だからこそ、思い出すことができたら、それをほめてあげるのです。
【成長を引き出す】思い出すきっかけをあげる
成長を引き出すために先手を打つ方法もあります。それは、思い出すきっかけを作ってあげることです。
「何か、やることある?」「お母さんに渡す物ある?」などと思い出すきっかけをつくってあげます。それで、「あっ、そうだ!」などと思い出したら、思い出したことをほめてあげます。
年齢が上がるにつれて、自分で「何か、やることあるかな?」などと、思い出すきっかけを自分自身で作れるようになると、すっかり忘れてしまって大失敗!!ということを防ぐことができます。その準備としても、思い出すきっかけをあげるようにするのは、良い方法だと思います。
【あるある2】やるべき事が後回しになる
例えば、小学生の男の子は、なかなか宿題をやらないことが多いと思います。
宿題をやるように言ったら「うん」と返事があるので、待っていたらいつまでたっても宿題を始める気配すらないということも、日常茶飯事ではないでしょうか?
そういうときに、「宿題やりなさい!」と注意すると「やろうと思ってたのに!!」と反論してきて、「お母さんが言うからやる気がなくなった」などと全くわけの分からない理屈を言い始めたりします。
お母さん方は、こんなわけの分からない理屈に、毎日のようにつきあってあげなくてはならないことは本当に大きなストレスになっているかもしれません。
【対応のコツ】「さすが!」とほめてあげる
実は、「やろうと思ってたのに!!」という反論は、こちらの思うツボなのです。
ぜひ、「さすが!!やろうと思ってたんだ!」と、ほめてあげてください。続けて「ちゃんと考えててすごいね!」などとほめてあげると、さらに良いと思います。
ほめられると、すねたり怒ったりしづらくなります。自分から動く可能性が高くなります。
【成長を引き出す】時間の感覚を育てる
やるべき事が後回しになってしまう背景には、時間の感覚が育っていない場合があります。こども自身で「あと30分で○時かな」などと、思ったとしても、その30分の感覚が分かっていないと、いつの間にか時間が過ぎてしまっていて、次の行動に移れなくなってしまうのです。
こういったことを避けるために、時間の感覚が持てるように促してあげることをお勧めします。方法は単純です。日曜日など、時間にゆとりのあるときに、今の時間を質問してこどもに当ててもらいます。
例えば、「今何時だと思う?」と聞くのです。もちろん、時計は見ないようにします。家族みんなでクイズのようにすると楽しめると思います。
最初は、トンチンカンな時間を答えたりすると思いますが、そのうち、かなり正確に当てることができるようになると思います。時間の感覚が育ってくると、自分から時間を見ながら行動できる可能性が高くなります。
【あるある3】友達とのトラブルが多い
小学生の男の子は、友達とケンカしたり暴言を吐いてしまったり、毎日のように友達とのトラブルが起きてしまいがちです。子ども同士の関係も心配になりますし、親同士の関係が悪くなるのもストレスになりますね。
何とかトラブルが少なくならないかと心を痛めているお母さん方も多いと思います。
【対応のコツ】感情に焦点をあててかかわる
トラブルを知ったときには、注意したり叱ったりすることが多いかもしれません。それよりも、まずは子ども本人の気持ちに注目してあげてください。
相手の子どもとのやり取りの中で、悲しかったり、腹が立ったり、悔しかったり、いろいろな感情がわいてきたと思います。お母さんがその気持ちを想像して、「悲しかったね」「腹が立ったんだね」「悔しかったね」などと言葉で伝えてあげてください。
そのトラブルの行為を「そういうコトしたらダメだよ」などと諭すのではなく、「そういうことしたら、お母さんは悲しくなっちゃうよ」とお母さん自身の気持ちを言葉で伝えてください。
友達とのトラブルの背景には、自分自身の感情のコントロールが難しい場合が多いと思います。自分の感情に気づくことや相手の感情に気づくことがトラブルの防止につながります。お母さんがご自分の気持ちを言葉で伝えることも、人の気持ちに気づけるようになることにつながります。
【成長を引き出す】 「こころキャラ図鑑」はお勧め
自分の心に様々な感情が生じることを学べる絵本(図鑑)があります。
感情が28種類のキャラクターになって表現されていて、楽しく感情について学べます。
男の子は図鑑好きの子が多いと思うので、気に入って読んでくれるかもしれません。日常会話の中に、「お母さんは、カナシイラになっちゃうよ」などとキャラクターを取り入れて話すこともお勧めです。
まとめ
小学生男子の【あるある】として、【とにかく何でも忘れてしまう】【やるべき事が後回しになってしまう】【友達とのトラブルが多い】ということについて、カウンセラーの立場から対策を考えてみました。
ほめてあげるという対応が多かったと思います。男の子は、基本的にお母さんが大好きですので、お母さんにほめられることが、何より良い変化につながります。
ほめるポイントを見つけにくいことが多いかもしれませんが、今回の記事を参考にしていただけたら幸いです。
記事の執筆
半田一郎(公認心理師・臨床心理士)